シングルの環境考察

※「環境」とはボクが実際にレート・オフで対戦する場をいいます。ボクの周辺だけで言っていますので必ずしも一般的な全ての場合に当てはまるものではない、という前置きを書いておきます。



  



個人的に今シングルバトルの中心となっているポケモンはこの二匹であると感じています。レーティングでも多数のパーティにどちらかが入っており、オフ会でもKP上位を常に取っています。
この二匹の数が増えた理由については様々なものがありますが、この二匹は似ているようでこなせる役割が違っている点もあるので別々に考えてみたいと思います。
まずはローブシントリックルーム。ダブルでは定番となっているクレセリアブルンゲルによるトリックルームが絡むパーティはシングルでも珍しい存在ではなくなりました。
その背景にはBW2以降急激に数を増やした脱出雨パや、追い風によるS操作にまとめて有利となれる、汎用性のあるメタ要素を持たせて戦うことが出来るサブ戦術として注目された背景があると考えています。
脱出雨パ、特に拘りスカーフ持ちポケモン(霊獣ランドロス、霊獣ボルトロスなど)+脱出ボタン持ちニョロトノ+キングドラ(拘り眼鏡、龍の舞)という組み合わせが非常に多くのパーティに対応出来るもので、メタ要素を仕込んでも択ゲーとなってしまう場合が少なくありません。それに対してトリックルームから一貫を作ることが出来れば有利に戦うことが出来ます。そのトリックルーム中に非常に高い制圧力を持つポケモンローブシンです。
ローブシンは非常に広い攻撃範囲を持ちながら、火力と耐久を両立出来るポケモンであり、先制技を持つのでタイマン性能もトップクラス。BW2で非常に強化されており、BW2初期から数多く対戦で見られたポケモンです。対応手段として先制で高火力の特殊技で潰すというものがあり、ローブシンに対して高威力の特殊技で攻められるのが雨パの利点ですね。
しかし特殊技をメインに据えて戦うポケモンは軒並み物理耐久が低く、ローブシンとS関係が逆転するだけで縛り関係も逆転してしまう場合が少なくありません。ただでさえSが遅く後攻でせめても強いポケモンローブシンがS関係を逆転させられるだけで数少ない対応手段も潰されてしまうということになります。トリックルームに依存しづらく、サブ戦術として組み込むだけで良いので幅広く戦えるポケモンです。トリックルームという技があるだけで多くのパーティに対して一方的に不利になること無く戦える戦術として今数を増やしているように感じます。
対してキノガッサですが、トリックルームを使うポケモンは当然素早さが低めになっており、素早さが低いポケモンに総じて強いのがキノガッサというポケモンです。
キノコの胞子に限らず、身代わり+ポイズンヒールトリックルームのターンを稼ぐことも出来ます。決してキノガッサ一匹を入れれば有利になるというものですが、トリックルームによる一貫は対処法が少ないので自然と採用出来る技で不利にならず戦えるというのが強みです。
さらにキノガッサは草タイプであり、特性ポイズンヒールならば拘り眼鏡を持っているキングドラに対して死に出しをするだけで試合を有利に運ぶことが出来る力を持つポケモンです。雨パが強い環境だからこそ補完として採用しやすいポケモンといえるはずです。テクニシャンとポイズンヒールで全く性能が違うポケモンですが、クセが強いにも関わらず高い採用率を誇っているのは違う型でそれぞれ違う良さがあり、相手にした時にどちらかすぐに判別出来ず、型の読み違えが試合の結果に直結することもあると思っています。キノガッサを採用すると、非常に強力なパーティであるライコウを軸とした「壁パ」にある程度有利になれるのも大きな長所ですね。



上記以外にも、もっと記述すべき強さはありますが本題はここからです。この二匹が増えたことによって起こることについてです。

クレセリアのさらなる増加
・ゴーストタイプの活躍
バンギラスの増加、カバルドンの減少
・受けループの相対的な強化


まずクレセリアの増加ですが、これはクレセリアに限らず、対格闘をこなせるポケモンの増加ということです。ランクルスサマヨールなどがそうですが、クレセリアは特に素早さがある程度高く、型次第ではどちらのポケモンにもほぼ一方的に有利になります。それでいて非常に高い種族値を誇り、トリックルームを絡めた戦術や身代わりと瞑想の組み合わせ、更にキュウコンと組み合わせて月の光をするなど様々型がある点が採用率の高さに繋がっているのではないかと考えています。
クレセリアの増加は他にも影響すると考えます。それはドラゴンタイプのラティオスの減少です。クレセリアラティオスはタイプが被っているため同居しづらいです。当然同居出来る構築もありますが同時に選出することは難しい、ラティオスよりもガブリアスカイリューの方がクレセリアの相方として適している場面が多いです。例えばガブリアスクレセリアの苦手なバンギラスに強めで、カイリュークレセリアの苦手なウルガモスに強い点があげられます。この二点はラティオスだとクレセリア同様不利な相手となりがちなため、クレセリアが増加することはラティオスの数を減らすことに繋がると思っています。
更に、ラティオスの数が減ったということは鋼タイプに採用されるハッサムも対ラティオスを意識したオッカの実を持った耐久重視のハッサムは数を減らし、今は拘りハチマキや命の珠を持ったアタッカー性能の高いハッサムが多いです。それ以外はメタグロスエアームドなどの鋼タイプをハッサムと変わって採用することも見受けられました。
また、これによってガブリアスカイリューが増えることはパルシェンの増加にも繋がります。パルシェンローブシンキノガッサマッハパンチでストッパーとされてしまいますが、物理技メインのドラゴンタイプには圧倒的に強いポケモンであるためラティオスが減りガブリアスカイリューが増えると活躍の機会は以前よりも増えるはずです。
クレセリアというポケモン一匹を取りあげてもこれだけ環境の及ぼす影響が強いということをボク自身強く実感しています。BW2での乱数でも捕獲出来るポケモンであるため以前よりも使用者が増えた、というのはよく言われていることです。
次にゴーストタイプですが、これはシャンデラサマヨールブルンゲルのことを主にいいます。シャンデラローブシンの技がメイン格闘技・マッハパンチ・冷凍パンチの全てに後出しが出来るポケモンで、有効打が無ければ小さくなるや身代わりから展開することが出来る制圧力の高いポケモンです。サマヨールは非常に耐久力が高く、痛み分けで回復とダメージを与える作業を同時に行える他トリックルームや呪いによる自主退場など、クレセリアとは違った方向で対格闘をこなしてくれるポケモンです。ブルンゲルは挑発による対受けループや眼鏡を持たせて対天候に繰り出すなどタイプ相性以上の働きをしてくれる器用なポケモンです。これらの対格闘が以前よりも更に注目されているように思えます。ゴーストタイプはハッサムに強いというのも大きなメリットです。クレセリアの話でハッサムは以前よりも減ったというような書き方をしてしまいましたが、実際はクレセリア自体にも有利であるだけでなく、寝言を覚えさせてキノガッサに有利なポケモンとして使うことも出来るためより新たな活躍の仕方をするポケモンとして一定の使用者がいるポケモンです。そのハッサムの虫タイプを半減出来るのがゴーストタイプであるため対ハッサムとしても重宝する機会が増えているように感じます。
次にバンギラスカバルドンですが、一見格闘が増えるとこの二匹にとっては逆境なように思えますが、上記の対格闘全般にバンギラスは有利となることが出来ます。バンギローブというよくある組み合わせですが、格闘と組み合わせやすいという点で今まで以上に数を増やしているのではないでしょうか。反面、カバルドンは数を減らしています。これはカバルドンを軸にして組むと対ローブシンをこなすことがしづらく、カバルドンによる起点作成がローブシンキノガッサに刺さり辛いことが環境から数を減らしている要員の一つだと思っています。勿論カバルドンは非常に強力なポケモンですので絶対的な強さが落ちたとは思っていません。今後も数を増やす機会はまだまだあるハズです。今はバンギラスによる砂を生かしたパーティの方が数が多いと考えている、ということです。
最後に受けループを取り巻く環境ですが、これは格闘枠にローブシンキノガッサが増えたことで、相対的にバシャーモテラキオンが減ったことが大きく影響していると思っています。最も大きいのはグライオン復権でしょうか。BW2でテクニシャンキノガッサに後出ししづらい点(だけでは勿論ありませんが)から数を一時的に減らしていたグライオンですが、最近はラッキーの相棒としてよくパーティに同居されている姿を見ます。技こそ炎のキバ、翼で打つなど多様化していますが、これはテラキオンバシャーモの減少からグライオンが今まで以上に活躍する機会が増えていることも要因の一つとしてあげられるのではないかと思っています。ラティオスが減ったことも受けループが結果を出しやすくなった要因の一つなのは間違いないと思っています。受けループに関してはメタの貼り合いになるためこれらは構築要素を取り巻く環境のほんの一つにしか過ぎないのですが・・・。

ローブシンキノガッサが増加を続けることによって対格闘のこなし方が多様化したり、基本選出があるパーティの取り巻きが徐々に変化していったり、他の格闘タイプのポケモンが減った事による別のポケモンの相対的な強さが変わる、という点です。
上記をまとめると

クレセリアの増加
ラティオスの減少、ガブリアスカイリューの増加
シャンデラサマヨールブルンゲルの相対的強化
バンギラスの増加、カバルドンの減少
テラキオンバシャーモの減少
・上記に伴う受けループの強化


BWからBW2になることで恐らく最も強化されたであろうローブシンキノガッサ、この二匹は今後も一定の数を保ちながら数を増やすことでしょう。
今はあまり対戦環境に大きな変化は無いように思っていますが、着実に環境は動いていると思っています。
「環境」という言葉については好みが分かれるところですが、ボクの周りを取り巻く「対戦環境」はこのような変化が起きてるなー、と自分なりに考察してみました。ここで考察した環境も恐らく少し期間が経てば全く別の環境へと変化していることでしょう・・・。ごく当たり前のことを書いているだけに思った方もいらっしゃると思いますが、改めて自分で文章にしてみると色々と見えてくるものがありました。
ほんの少しでもシングルを考える時の参考になれば幸いです。長い文章になりましたが、お読み下さりありがとうございました。



最後になりましたが、歳納京子さん、誕生日おめでとうございます。
いつまでも天真爛漫でみんなに笑顔をくれる存在でいて下さい。