カイリュー雑感

カイリューについて纏めました。




タイプはドラゴン・飛行。岩・ドラゴンが2倍弱点であり、氷が4倍弱点のポケモンです。
特性はマルチスケイル・精神力。マルチスケイルはこのポケモンしか持っていない強力な特性で、種族値の高さも相まって、並の攻撃では一撃では倒されません。耐久に努力値を割けば、強力な氷技・ドラゴン技も耐えることが可能です。基本的にシングルバトルで運用する場合はこの特性を前提に戦うことになります。しかし、精神力という特性が存在する以上、マルチスケイルを潰すための猫騙しを撃ったり、トゲキッスエアスラッシュで怯みを狙いに行ったりするという行動にリスクが伴います。
種族値は91-134-95-100-100-80という所謂600族のポケモンであり、攻撃技か特殊技のどちらかしか使わない場合は無駄になる種族値は少なくありませんが、どの能力も非常に高い高水準のポケモンであると言えるのではないでしょうか。
覚える技が多彩なのも魅力です。マルチスケイルで使う場合は第五世代で孵化をしなくてはならないため、第四世代での教え技を習得することが出来ませんが、それでも物理攻撃技、特殊攻撃技、補助技など実に多くの技が習得可能で、様々な型で使うことが出来ます。パーティによっていくらでも型を変えて様々な使い道があるので非常に汎用性があり、強力なポケモンの一匹であることは間違いありません。
マルチスケイルや多くの技によってタイマンで不利なポケモンは殆どいません。非常に起用なポケモンなので、シングルバトルだとウルガモスの炎技・虫のさざめきやバシャーモの炎技・格闘技を半減出来るタイプを活かしてそれらの対策として採用されたり、神速の威力を利用して起点作成からの全抜きポケモンに対する抑止力として使われたり、龍の舞や拘りアイテムを使って自らエースとなったり、電磁波などの補助技を使って相手を妨害しながら羽休めで回復してアドバンテージを取ったりして使われるなど、実に様々な目的で採用されます。
一番カイリューを使う目的がはっきりしているのがカイリューをエースとして使う場合です。カイリューガブリアスには無い龍の舞が使え、かつガブリアスより攻撃力のあるポケモンです。更に逆鱗も習得するので、マルチスケイル込みである程度余裕を持って龍の舞を積み、逆鱗で一掃するといったことが可能です。相手の鋼ポケモンで受けに来ても大きなダメージを与えることが出来ますし、耐久力が無いポケモンだけで構成されているようなパーティならばカイリュー1匹で逆鱗しているだけで壊滅するパーティもあるでしょう。カイリュー自身をエースとする場合は龍の舞を使うのが一番手っ取り早いといえます。
メインウェポンは逆鱗ですが、リスクがある技でもあるので、命中率は低いですがドラゴンダイブや、威力が劣るが基本的にノーリスクなドラゴンクローなど、他に選択肢があるので目的に合わせて採用技を変えることが出来ます。
逆鱗を採用する場合は持ち物がラムの実であることが多く、龍の舞を使ったターンに麻痺や火傷を貰っても確実に次のターンで高火力の逆鱗が撃てるだけでなく、逆鱗による混乱も回復することが出来るので非常に腐りにくく、強力な組み合わせといえるのではないでしょうか。また、命の珠や各種ジュエルといった火力増強アイテムも見逃せません。これらの技は拘りアイテムほどの突破力は無いものの、龍の舞などの積み技と非常に相性が良いアイテムなので十分なシナジーが見込めます。火力が足りなくて倒せない相手などをピンポイントで倒したり出来るのでラムの実を他のポケモンに回している場合などに火力増強アイテムを持たせておくと何かと便利な場面が多いです。例えばドラゴンジュエルを持たせていた場合、カイリューカイリューを苦手とするポケモンが向き合った場合に、カイリューが1回龍の舞を積んで、逆鱗を撃たれるところで鋼ポケモンにチェンジしてもドラゴンジュエルならばそのまま逆鱗連打で倒されてしまう、といった崩し方もあります。
地震や炎のパンチも覚えるので鋼ポケモンを安心して出せるポケモンではありません。また、雷や大文字と言った高火力技の特殊技を持っており、仮に性格補正で特攻が下がっていたとしても、物理防御に特化させたポケモンが簡単に突破されてしまうので、エースとして使われた場合での対処が非常に難しいので常に意識して対策をしておくべきポケモンの一匹であることは間違いありません。
ではどう対処すればいいのかという話ですが、耐久に振ってないカイリューならば高火力のドラゴン技で仕留めることが出来ます(拘り眼鏡を持ったラティオスの流星群など)。それらが耐えられるようならば龍の舞などで起点にされることが少ないので、後続での対処がある程度可能になります。その場合は1匹失ってしまうことになってしまいますが、鉢合わせのタイミングが不利になっても1-1交換が出来ると考えるならば1匹でパーティが壊滅することが無いだけマシと考えます。
また、バンギラスユキノオーステルスロックなど、定数ダメージでマルチスケイルを削って隙を与えにくくするといった方法もあります。カバルドンステルスロックをするようなパーティならば必然的にカイリューは楽に対処出来るパーティになっているでしょう。ステルスロックが刺さらない初手で出てこられるとそのような対処は意味をなさなくなるので、初手で出された時のことを常に意識して選出を考える必要があります。
素早さが遅めのハッサムロトムといったポケモンのトンボ返りやボルトチェンジを使いながら後続の拘りスカーフを持っているポケモンにチェンジする方法も有効です。カイリューを想定する場合ならば、強力なドラゴン技や氷技を使える拘りスカーフ持ちのポケモンを用意しておけばカイリューに龍の舞を使わせるだけで倒すことも可能です。
逆を言えば、カイリューを使う側もそれを意識して立ちまわるとある程度安全に動くことが出来ます。ロトムハッサムを見たらすぐに逆鱗を撃ったり安易に龍の舞を使ったりせず、相手の後続のポケモンを予測してなるべくリスクが減るように技を選択する必要があるといえます。バンギラスユキノオーがいて立ち回りが制限されるようならば他のポケモンで道具をわからせておいたりしてなるべく邪魔を減らしてから出すようにするとより突破がしやすくなります。
龍の舞を使う型でも、大文字があればエアームドを容易に突破することが出来たり、神速があればウルガモスバシャーモを黙らせることが出来たりすることが出来ます。技が非常に幅広いので、構築にあわせて様々にいじってみるのが良いのではないでしょうか。
龍の舞を使う型の他にも、拘り鉢巻を持たせる型も強力なエースとなり得ます。この場合も逆鱗は非常に高い威力を持つ強力な技となりますが、カイリューは神速を覚えます。拘り鉢巻を持ったカイリューの神速は非常に威力が高い先制技で、バシャーモウルガモスといった物理防御が低めのエースのポケモンに大ダメージを与えることが出来ます。
この場合は後出しでもある程度使いやすいですし、耐久に割くことも出来て、素早さが低い分突破力は落ちるものの、カイリューがパーティの穴埋めとして働いてくれるので動きの自由度は上がります。
後出しする場合はマルチスケイルを削っても大丈夫な相手かどうかを慎重に見極めなければなりません。例えばウルガモスがいて、カイリューを後出しして炎技を受けて逆鱗で倒そうとしたら目覚めるパワー氷をくらって倒されるといったことがあっては勿体無いです。素早さが遅いポケモンなので逆鱗の火力に期待するというよりは、神速や地震などの一貫しやすい安全な技で攻めていく立ち回りが多くなるのではないでしょうか。
逆鱗を使おうとするならば、ローブシンやなどのポケモンに出して上から殴れる体制を立てたり後攻トンボ返りやボルトチェンジから攻撃をくらわないように出したりする立ち回りが必要です。ガブリアスボーマンダと違って素早さが劣りやすい分、上から殴られやすいのでマルチスケイルがあるとはいえ4倍弱点を持つ以上、出すタイミングは他のポケモンよりもシビアになるのではないかと考えます。
エースとしてではなく、耐久を持った相手の攻撃を受ける役もこなすことが可能です。有名なものが電磁波と羽休めを組み合わせる型です。一度相手を麻痺させて、先制羽休めで回復しながら相手が痺れるのを待つという戦略ですが、カイリューの羽休めはマルチスケイルをもう一度復活させることが出来ます。相手の攻撃で半分削れなかった場合は羽休めで全回復してもう一度受けることが出来るので、この戦術とカイリューは非常にマッチしていると言えるでしょう。
この場合はカイリューを火力重視で無く、耐久重視で性格補正をかけたり努力値を振り分けたりすることが多いです。耐久に振り分けることで、拘り鉢巻を持ったガブリアスの逆鱗も、拘り眼鏡を持ったラティオスの流星群も耐えることが出来るので、目的に応じて様々に耐久調整をすることが可能です。電磁波を入れることで素早さをある程度切ることが出来るのでより自由度が上がります。勿論耐久重視の配分で拘り鉢巻をもたせたり、龍の舞を使ったりすることも考えられます。
オススメな持ち物一覧
・ラムの実
龍の舞+逆鱗でゴリ押しするのに一番使いやすいアイテム。腐りにくく、あらゆる場面で活躍するアイテムです。迷ったらとりあえず持たせてOKな一品。
・キーの実
混乱しか防げないため、汎用性は落ちてしまいますが、腐りにくいアイテムであることは間違いありません。電磁波や鬼火から守るのもラムの実の大きな魅力です。
・拘り鉢巻
龍の舞を使わなくても、逆鱗でロトムを一撃で落とせたり、耐久に振っていないバンギラス地震でほぼ落とせたりします。神速で物理耐久があまり無い火力ポケモンに大ダメージを与えて、全抜きされる抑止力としての働きをしてくれるようにもなります。
・命の珠
龍の舞と非常に相性が良いだけでなく、龍の舞を使わなくても一定の火力が期待出来る使いやすいアイテムです。しかし、一度攻撃するとマルチスケイルは削れてしまうので殴るタイミングがややシビアになるため慎重な立ち回りが必要になる場合もあります。
・各種ジュエル
ドラゴンクロー+ドラゴンジュエルで立ち回りをしやすくした上で火力を増強したり、逆鱗+ドラゴンジュエルで殆ど受けられるポケモンをいなくさせたり、ノーマルジュエル+神速で拘りスカーフを持っているポケモンにも絶対に負けないようにしたりと、用途は様々です。一度しか発動しないのでやや使い捨てになる立ち回りになりがちです。パーティ全体が攻撃的になっている場合や、カイリューに持たせる道具が無い場合は持たせておくと腐ることはあまりありません。
・食べ残し
天候が霰状態や砂状態の時は、霰や砂の天候ダメージ→食べ残しの順で回復するので、マルチスケイルを残しておくことが出来ます。これなら、パーティにユキノオーバンギラスが同居していても動きを制約されることが無いので、耐久に努力値を割いたカイリューなどに持たせるとより仕事をしやすくなります。

主な技紹介
・逆鱗
タイプ一致主力技の一つ。タイプ一致で威力120、何より命中率100%なのは非常に頼もしい。しかし、思考停止で撃っていい技ではないので、撃つ場合はちゃんと考えてから。
・ドラゴンクロー
逆鱗に比べて大きく威力は劣るが、最も安全に撃てる技。ラティオス程度ならばあまり火力に割かなくても倒せる場合が多い。ジュエルなどがあるとより使いやすくなる
ドラゴンダイブ
威力は申し分ないが命中率にかなりの不安が残り、使いづらい。龍の舞を使うならば追加効果は発動しやすい。
・炎のパンチ
鋼を殴れる便利な技。大文字や火炎放射もあるので、龍の舞を使う場合や拘り鉢巻を持たせる場合はこちらを採用することになるだろう。
・大文字
鋼を殴れる技。鋼ポケモンに対して撃つ場合、炎のパンチよりもこちらの方が威力が上であることが多い。命中率に不安が残るなら火炎放射を使おう。
・火炎放射
大文字と比べて威力は落ちるが命中率100%。特殊耐久に振ったユキノオーなどが落ちない場合があるので構築で使い分けをすると良い。
・神速
覚えるポケモンは多くない強力な技。迷ったらこの技を採用して間違いはないだろう。様々な場面で活躍する。龍の舞とはあまりシナジーしないように見えるが、火力増強という面で両立させることはよくある技。